日本には、いろいろな発酵食や発酵文化がありますよね。
たまたま行ったイベントで、衝撃的な出会いをしたのがこのお寿司。
「さんまのなれ寿し」
三重県の伝統食で、このお寿司は寿司だけれど「お酢」は使用していないのが特徴です。でも、ちゃんと酸味が感じられます。
実は、「さんまのなれ寿し」の酸味を作り出しているのは、乳酸菌なのです。
原料となるさんまも、三重県でとれたものでなければならないそうで、太平洋を北海道から南下して筋力が備わったものでなければならないそう。筋肉質のさんまを塩漬けにしたもので、柔らかめに炊いたお米を包む。
そして、今回頂いたさんまのなれ寿しの最大の特徴は、「水中に沈め、そこで発酵を進める」こと。
豊富なタンパク質が、自己酵素によりアミノ酸へ変化しうま味へ。
塩分とお米は、絶妙な配合で乳酸発酵し酸味へ。
水中は、外気温の変化がゆっくりと伝わり、その環境下で発酵をゆるかやに進めるんだそう。
まさに、水中ユラユラ寿司。
お醤油をつけて、七味をパッパするのが地元の食べ方と。
酸味はゆるやかに、魚臭さもなく、噛み締めるほどにうま味が広まる、なんとも表現が難しいお寿司。お酢じゃないお寿司。昔はどこの地域にも、きっとこんな発酵のさせかたの保存食って、あったんだろうな。
今や、このお寿司の伝統的な作り方をする地元の女性が、ほんの数人しかいないそうで、出会ったお弁当屋さんのおじさんは「僕はこの味を応援したいんだよ」と仰っていました。
しかし、なかなか万人に美味しさがストレートに伝わる食ではないので、「説明が難しいんだよ」とも仰っていました。こういう味こそ、地元の方々に代々引き継がれるべき味なのですよね。きっと。
ご興味の方は、まず食べてみて下さい。
この味を!^^
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