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|まいにち|うまみ日記|

塩のコトバ

現代の塩の解説本として、私が愛してやまない本は「塩の事典」と「塩のことば辞典」。私が気になっていた「塩に由来するコトバ」を今回は「しおの世界史」を参考に、いろいろ集めてみました。

■サラダ
ローマ人は、苦味を消すために緑野菜に塩をふることをしていた。塩をふることをsalda=サラダという、今の語源につながっている。
『キャベツを刻み、洗い、乾かして、塩か酢をふりかける。これ以上健康的なものは無い』(紀元前2世紀頃 カトー著『農業論』)ちなみに私が住んでいる東京都西東京市は、キャベツの生産量が多摩地域で1番。キャベツキャラがおります。

■サラックス(メジャーではありませんが、参考まで)
ローマ人は、恋する人間を「サラックス=塩漬けの状態」と呼んでいた。
塩は、生殖に関連付けられる事が多い(byアーネスト・ジョーンズ)。なぜならば、陸の生物よりも海に生息する魚が、多くの子を持つことに由来していると思われる。実際、1157年のパリの版画では、夫の精力を高めるために"カラダの全面と背面に塩をすり込むことで男が強くなる"という方法が記載されている。そして[salacious:好色な]という単語の語源となる。

■サラリー(サラリーマン)
紀元前。当時、塩はローマ人にとっても塩は欠かすことが出来ない貴重なものであった。平民は塩がすべての人に行き渡ることを臨んだが、それを凌駕する帝国の建設という大きな目標を抱えていたため、貴重な塩を国の兵士へ送ることを選んだ。そして、兵士の給料は塩で支払われることも多くあった。…というところが語源となり、「給料だけのはたらきがある」「食いぶちを稼ぐ」という表現の元となっている。

余談だが、ローマは拡大を続ける中でイタリア半島の海岸、沼、塩泉に製塩所を作り、ハッシュタルト・ハライン・ガリア・ブルガル・ギリシャ・黒海・死海・ソドムの山の製塩所を支配下にし、ローマ帝国の領土で60を超える製塩所が現代では確認されている。

■サラミ
ラテン語の動詞で「塩漬けにする」というコトバが語源。
プロシュート用に、乳清を与えられて飼育された豚肉の不要な部位をひき肉にして加工。

■ソルジャー
ラテン語のsalが変化、フランス語で支払いを意味する「ソルド」→兵士=saldierという単語が生まれた。

□塩という漢字の源
・古代漢字(象形文字)の塩の意味→漢字の下部は道具、左上は帝国の高官、右上は塩水
つまりは塩を国家の道具として専売すること意味し、全てのヒトにとって必要な物質をコントロールすることにより、多額の税収を得ることが可能となり、これが国を支える財力となる。

・現代漢字→土からとれる、人が口に運ぶ、皿の上のもの
中国の人たちは、塩を直接食卓にのせることはせず「醤jan」という形に変え、食事をとっていた(これが日本に渡り醤油の製法の元となったとされています)。一部の高貴な身分の高官たちは、高級な器に純白の塩を入れ食事の際に提供することで、贅を見せつけていた。


塩の話を紐解いていっても、その先に出てくるのは政治の話や歴史や文化の流れだったりします。命に欠かせないものだからこそ、『塩』という物質をコントロールすることで、財がなり、国家がなり、価値を深める。ま、そんな存在なのだと思います。

たかだか数千年前の話ですがね。
塩の視点から時の流れを見ると、資源を元に繰り返されることの愚かさが垣間見えてきます。砂糖も同じ白い粒。似て非なるものですが、まだまだひよっこなんじゃないかと。

気になるコトバが出てきたら、またさらに追加しようと思ってます。

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