福幸のために。
先々週に引き続き、月曜日から昨日まで、二子玉川の東急フードショー内 オカッテさんのキッチンに入っておりました。今回の担当は「福島 カーチャンの力プロジェクト」のランチです。
昨年、このブログにも書きましたが福島へ行ってあまりの惨状に衝撃を受けました。直視できない、恐ろしいパワーが去った後の静けさ。そして、目には見えない放射能の数値。
この中を生き抜いてきた方々の苦労を自分に置き換えた時、どんな言葉が欲しいんだろうか?どうやって接したらいいんだろうか?と。今回、このプロジェクトをお受けした時、実は心の底ではそんなことをずっと考えていました。
そんな気持ちのまま、カーチャン達からランチを引き継ぎにキッチンへ入りました。彼女たちの顔を見たら、合う前の不安に思っていたことが、吹っ飛びました。カーチャンたちの優しさに触れて。ついつい、思っていたことを半泣きで正直に話していました。
カーチャンたちは原発事故から避難されていて、飯舘村・葛尾村に元々は住んでいたそう。仮設や借り上げ住宅で暮らしています。
「どうしても老人が多いんだけどさ、野菜も作ることができないで、みんな集会所に集まって編み物するとか、折り紙したりとかしかすること無いんだよ。家に帰っても1(マイクロシーベルト)超えてるから、仮設でちっちゃい花をベランダで育てるくらいだよ。ずっと森に囲まれて、野菜作ってたのにな。」
そんなカーチャンたちが持っているたくさんの財産。
美味しいものを作る。
ふるさとの味を守る。
人を元気にするパワー。
そうやって立ち上がったそうです。
お弁当やお漬物を作って地域の人に届けたり、キッチンカーで仮設住宅を回ったりされています。
「本当に、こうやって東京で料理できるなんて、夢みたいだよ」
カーチャンたちは笑いながら話してくださいました。
ランチは、どれもこれも手間暇をかけたものばかり。
・凍み大根が入った煮物
・いか人参
・味噌じゃが
・お漬物
・おまんじゅうのデザート
・だんご汁
・山菜ご飯
本当に、ホッコリ優しくて、薄味を心がけていらっしゃるそうで、すごく良い。薄味~の中にも、漬物は最低限の塩味や味噌汁は出汁がちゃんときいているので、全体として見るとメリハリのあるバランスのとれた食事になっています。
今でも毎日、放射能の問題で毎回作ったご飯は計測しにいくつか持って行き、安全を確認されているということ。実は、キッチンの奥にも放射能検査の結果も常備していたのです。今回、これは使うことがありませんでしたが、これが原発事故の現実です。
でもね、カーチャンたちの味で、東京のランチに来てくださる方もホッコリ。
後半2日間は、私が一人でキッチンを回していたのですが、2回来てくださる方や、「カーチャン達に美味しかったと伝えてね」と、優しい心を残してくださる方が多かったです。
一食に込められた愛情と気持ちが、人の記憶に深く残るってこういうことなんだな…って改めて感じさせられました。
カーチャン達に「頑張れ!」とは言えません。だって、頑張っているんだもの。
なので、背中から「いってらっしゃい。心の底から応援してます」と声をかける気持ちでいようと思います。
ランチに来てくださった皆様、
福島のカーチャンたち、 ありがとう。
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